クイーンを初めて知ったのはおそらく中学生の頃。「女王」という名だけに、見目麗しいビジュアルだろうとワクワクしながら見てみたらヤケに濃い衣装に身を包んだヒゲ面のフレディが、腕を突き上げるポーズをキメていて、女性的な名称とは真逆の男性ホルモンまみれのビジュアル、そのギャップに愕然とし、「どこがクイーンなの!」と思ったのが最初の印象でした。

ちょうどデュラン・デュランカジャ・グーグーといったアイドルグループ、カルチャークラブ、デヴィッド・ボウイといった中性的なビジュアルを全面に押し出したミュージシャン、マドンナ、ワム、マイケル・ジャクソン、プリンスなど、音楽性も多種多様な音楽が自然に耳に入ってくる時代でした。

曲を聴いたのは、ビジュアルショック後しばらくたってから。入り方”に失敗したせいか、自ら進んで聞こうという気にならず、ラジオやテレビでかかるのを聴く程度。とくに好きでも嫌いでもないアーティストでした。

そしてゴシップ的な情報もよく耳に入ってきました。主にフレディのセクシャルな一面に関するものが多かったたですね。当時の日本は「ストレート」以外は「異常」と見るのが一般的でした。嘲笑や嫌悪の対象としてネタにされることも多かった。「海外での評価が低かったときに、日本で売れ、逆輸入された」なんてのも多かったですね。

いい意味でその頃の自分は割り切っていて、“アルバムを出す「アーティスト」は音楽がすべて、その背景や生い立ち、ルックスや正確、生き方は関係ない。音楽が良ければいいんだ ” と思っていたため、とくに変なフィルターもなく聴けていました。逆に日本のアイドルのアルバムにはかなり否定的。「音」しか出ないメディアに、聞くに耐えないものを入れて売る精神がわからないとか思っちゃっていました。痛いヤツですね。

その頃のクイーンの印象は、わかりやすいポップスグループという印象で、ロックバンドというイメージは持っていませんでしたが、CMやラジオではそこそこの頻度で曲が流れていて、聴いているうちに多様な曲のバリエーションを持っていることを知りました。

フレディが亡くなったとき、ラジオはクイーン一色。世界が泣いている気がしました。

映画「ボヘミアン・ラプソディ」を観ました。そしてフレディの生い立ちやコンプレックス、悩みを抱えながらもパフォーマーであり続けた彼と、その「家族」の「物語」です。泣いた、という話も、泣けなかったという話も両方聞きます。

クイーンを知っているかどうかでも見方が違います。「予備知識」無しというのも人によっては難しい。すでに知っていますからね。でもこれは映画です。「よくできたコピーバンドを観た」という感想は否定はしませんが知っているだけに違和感ばかりを気にして「映画として楽しめなかった」のだと思います。
本物が見たいなら、映画ではなく、YouTubeやビデオを観たほうがいい。チャーチル役のゲーリー・オールドマンだって本物にそんなに似てない。でも「ひどいコピー」とは言いませんよね。

単に映画としてみた場合、やや「薄い」と感じたのも事実です。「知ってる」人用のシーンもいくつかあり、そこに尺を使った分ストーリーが希薄になってしまったのかもしれません。

ただ、フレディの生きかた - 迫害からのがれ、のし上がりたいと願い、失敗や後悔を重ねながらもこだわり生きる様を最後のライブエイドのシーンで回収していて、クイーンを知らない人ほど楽しめる、「映画」として見れるひとなら楽しめる映画だと思いました。また、「知っている」人にしかわからないような細かな作り込みも見どころの一つ。こんなところにこんな人が…というのもこの映画の楽しみです。

マイク・マイヤーズ、ほんとにわかんかなかったなぁ…

2 comments

  1. クイーンも有名な数曲しか知らない程度ですが、普通に楽しめました。
    映画自体が数年ぶりなので長めのMVを見ている感覚だったのかもしれませんがw
    頭と足でリズム刻むタイプなので、ボヘミアンラプソディのbut now I’v gone and thrown it all awどーん で足が動きそうになりますた。

    マイク・マイヤーズに初見で気づく人おるんか!?

    1. mrmsさんこんにちは

      友達のような会社の上司は、「そっくりさんショー」に見えてしまったそうで、泣かなかったそうですが、
      最初のシーンで「デビッド・ボウイが見切れでチラッと見てるんだよね〜♪ ほんとそっくりそのまま!」と言って喜んでました。
      流石にそこまでのディテール話には乗れませんでしたね。

      泣かなかったのが悔しいのか、もう一回見るらしいです。

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