セイブ・ザ・クイーンのグンヒルド・ディルーブラムは、コンテンツ開放からすこし間が空いてしまった。尻込みしていたわけではなく、ちょっと仕事が立て込んでいて、集中してプレイする時間が取れなかった。先週から続いていた一連の仕事の納期のラッシュは、火曜の夕方までしっかりと追い込んだおかげでやっと落ち着き、ようやくまとまったプレイ時間を確保することができた。
一緒に行く人には申し訳ないけれど、初見コンテンツはいつも未予習で行くと決めている。新しいコンテンツは何が起こるかわからないほうが楽しいと思う派だ。とはいえ、実装から数ヶ月立っているコンテンツの内容だから、時間のかかる初見募集は、揃うまで何時間かかるか予想できない。これは回避したかった。
いまなら、みんな熟練揃いだろうし、一人ぐらい下手うってもきっと大丈夫。また、未予習でいくつもりで意識的に避けていたとはいえ、少なからず攻略情報は目に入っていて、少なからず知見はある。共鳴編までは零式を4層までクリアしていたから、スキルに多少の自負もある。進行できないような深刻な事態にはならないだろうとたかをくくって、普通に潜り込むことにした。尻込みしていないと言ったものの、初見のコンテンツで猛者の中に紛れるわけだ。コンテンツの申請はやっぱり緊張する。
緊張ってやつは、うまくやる自信がないから起きる。自信がないのに失敗したくない、またはできない。そう思うからひどくナーバスになる。できるとわかっていることなら、緊張なんてしないはずだ。
緊張は、自分がまだ未熟で、完璧じゃないと自覚している証なのかもしれない。だからこそ、クリアすると成長できた気がしてうれしいし、達成感を得られるのではないだろうか。ひょっとしたら、この喜びは、緊張の揺り返しで、緊張が大きければ喜びも大きいのかもしれない。そう思うと、緊張するのもなんだか悪くないように思える。
いよいよ突入。初見、ほぼ未予習、野良参加だ。零式ではないので、緊張も胃がよじれるような強烈なものではない。ソワソワ程度のいい緊張感。すこしワクワクも混じっている。当然ほかのメンバーは歴戦の勇者たちだから、肩を借りるつもりで行く。
いよいよ始まった戦闘は、通常の24人レイドや蛮神戦より、すこしテンポが速いと感じる。動いてギミックを回避する頻度が高い気がする。ボズヤのクリティカルエンゲージメントに似ている。展開はたしかに速く動きは要求されるけれど、よく見ていれば初見でもなんとか対処できそうな感じだ。全体をぼんやりと見ることで、ギミックの全体像がはっきり見えてくる。そこは零式の経験も生きているのかもしれない。
とりあえず中盤ぐらいまで来た。戦闘は人についていく作戦=通称ピクミンでなんとかなっている。もちろん、逃げそこねて攻撃を食らってしまうこともあるし、あらかじめ知ってないと回避が難しいギミックもある。ただ、一撃死を招くような攻撃は少なく、1発ぐらいなら耐えられる印象だ。それでもデバフは容赦なく付与されるから連続で食らえば死ぬ。きっとそれでも死ななかったのは、回復入れてくれたヒーラーさんのおかげだ。それでも限界を超えればやっぱり死ぬ。ヒーラーさん、ごめんね。
何度か戦闘不能になりながらも、なんとか最終ボスに到達。ここまでくる頃には、緊張感は集中力へと転嫁されつつある。胃がソワソワする感じもないし、油断したり退屈になったわけでもない。集中とリラックスが程よいバランスになってきた。
じつは、突入時に焦っていて、詩人が使うことのできないロスト・アクション「ロスト・アレイズ」をセットしてしまっていた。もうひとつのスロットに「ロスト・ケアルラ」がセットしてあったことは大きな救いだった。おかげでギリギリのところを何度が自己回復で乗り切れた。内丹だけではこうは行かなかったかもしれない。不幸中の幸いだ。
最後の戦闘は、夢中だったためか、あんまり覚えていない。とにかく回避に専念した。その間、歴戦の勇者たちがボスを削ってくれていたんだろう。なんとか生き延びて、そのままクリアした。ほとんどのギミックはピクミン作戦で対処した。一部のギミックは最後まで理解できなかった。
全体を通して何度か死んだけれどそれが全滅の原因になったりすることもなかった。正直なところ“初見”がベテラン集団にそっと紛れ込むのは罪悪感もあったけど、クリアしたときにはそういった事がぜんぶふっとび、霧が晴れたように心の重圧からも開放された。緊張感は、きっちり達成感へと昇華した。このとき午前1時だったが、気分は高揚し、まだ眠れそうにない。戦闘不能になった回数は片手の指程度だった。死にすぎただろうか…。
ともあれ、これでようやくレジスタンスウエポンの強化を進めることができるようになる。
私のアーマリーチェストにずっと使われないまま入っていたブリリアンス・リコレクション。いよいよ、強化を始られることとなった。