人間という生き物はコミュニケーションモンスターだと思う。日々、相当量やりとりの応酬で関係性を保っている。人と接するタイミングは非常に多い。世界は大きな水槽のよう。たくさんの個性が詰まった、広いけど逃げ場のない世界。好き勝手しているとぶつかってしまう。それでも悠々自適に泳ぐものもいれば、集団で身を護る者もいる。積極的にコミュニケーションして衝突を避けるものや、衝突をいとわないものもいる。そして狭い世界では生きにくく、端っこに寄っている人見知りもいる。

ズッカには友だちが少ない。誰に言っても信じてもらえないけど、人見知りだから。人嫌いなわけではなく、“心地よい距離感”が人より遠い ─ 少し大きめの間合いが必要だ。逆に、気を許した友達には距離は必要なくなる。間合いもいらない。その中間のレンジはすべて“気まずい領域”だ。

基本的に人との間合いは広めにとっている。“気まずい領域”に入らないように。しかし、相手からしてみれば他人行儀に感じる距離感かもしれない。また、自分にとっては適切な間合いでも、相手にとっては“気まずい領域”になってしまうこともある。だから、短時間、間合いを詰めて、“気まずい領域”「技術」で乗り越える。

ベタな例を上げれば、お天気の話だ。特別すごい天気でもない限り、誰もそんなことに興味なんてない。でも間合いは少し詰めてくれるし、コミュニケーションのきっかけになる。

言葉をやり取りしていくうち、相手のガードは下がってくる。相手がガードを下げればこちらもガードを下げられる。逆に、最初にこちらがガードを下げれば、相手もガード下げてくる。完全にガードを下げる必要はなく、ちょっとでいい、「ガードが下がった」と感じてもらえばいい。だから「天気の話」で少しガードを下げるのだ。別に天気の話じゃなくてもいいけど…。

そうして、いつしか“友達”になる。このFFXIVのデータセンターという水槽の中で。

フレンドリストに人が増えていく。もちろんフレンド登録なんて、携帯のアドレス帳登録や、ラインの友達登録と同じ。そんなの無くても友達だ。それでも、「この人は友達」だと実感できる証ではある。

それぞれ事情があって、この水槽から旅立つ人もいる。フレンドリストに登録されていた名前は「UNKNOWN」になる。アンノウン、不明。そのひとの消息を知っているときも、知らないときもある。しかし「不明」とは…ね。

先日一人のフレンドが旅立った。フレンドレストの、見慣れた名前と、見慣れた名前の間にある「UNKNOWN」の行。ここに友人がいた。どこに行くかは事前に聞いていた。リアルのつながりも残っているから、関係が切れたわけではない。きっと新しい水槽でのびのび泳ぐのだろうなと、「UNKNOWN」の文字を見て想う。

元気でね、楽しんで!

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